2024年
◎作品
静鳥取公演
2024年1月5日(金)19時開演
1月6日(土)14時開演
とりぎん文化会館 小ホール
構成・出演:木野彩子
音楽:八木美知依(17弦箏、21弦箏、唄)によるオリジナル録音を使用
照明デザイン・オペレート:三浦あさ子
舞台監督:田中陽一郎(アドセンターフジ)
音響:加藤由布(鳥取大学地域学部4年)
照明アシスタント:田中哲哉
記録写真:田中良子
アフタートークゲスト:佐分利育代(5日)、吉田雄一郎(6日)
企画協力:NPO法人ダンスアーカイヴ構想
チラシデザイン:北風総貴(ヤング荘)
主催:鳥取大学地域学部舞踊研究室
後援:鳥取大学地域学部附属芸術文化センター
助成:令和5年度鳥取大学地域連携エクステンション活動、
Towson University Asian Arts and Culture Center
Special thanks to Yasunobu and Kathleen Shiota、ヒカリ美術館、内藤久義、戸井香織
本公演は2023年3月Towson University Asian Arts and Culture Centerの招聘により
おこなった『SHIZUKA』アメリカ公演を鳥取にて改訂再演するものです。
プログラムより転送
はじめに
『静』は、白拍子、静御前を題材にしたダンスと音楽、照明とのコラボレーション作品です。 白拍子は、12世紀から13世紀にかけて活躍した職業舞踊家で、即興の歌謡朗読(今様)の名手であったと言われています。
白拍子舞は残念ながら現存していません。しかし静御前は非常に人気で多くの舞台作品(能、歌舞伎、日本舞踊など)や文学作品で扱われてきました。あまりにも魅力的な伝説であったためでしょう。白拍子舞とはどんなものだったのだろう?という素朴な疑問からさまざまな日本の舞踊に触れるようになりました。本作は能や民俗芸能から多くのヒントを得ていますが、私自身が西洋舞踊の舞踊家としてトレーニングをしていることもあり、現代に置き換えるとしたらどのようなものになるだろうかと音楽の八木美知依さん、照明家の三浦あさ子さんと工夫を重ねてきました。
コンテンポラリーダンスは現代社会における諸問題を扱うことも多く、既にダンスそのものへの問いかけが行われていたり、舞台機構からも逸脱が図られています。今回はそんな中、あえてストーリー展開のある題材を行うことにしました。元々の舞踊の発生を考えるとき、祈りや人の想いは欠かすことはできません。動きそのものの面白さや技の凄さに向かっていく現代のダンスの流行に逆行するかのようにあえて動きを抑え、感情の揺れ動いていく様をみえるようにしました。
時代は変化しても変わらないものもあるのです。
かつて日本の芸能の多くは神や仏に向かって奉納されるものであり、巫女や踊り手は神や仏の依代となる役割を担っておりました。観客はその場に立ち合い、後見として見守るものでした。2023年アメリカでの公演は3月11日、東日本大震災から12年を迎えた日でした。2024年も北陸の地震にはじまり、決して明るい未来とは言い難い状況です。それでもなお、そんな2024年の始まりに、土を踏み鳴らし、悪霊を祓い、その土地のエネルギーを高め、寿ぐことになりました。それでもなお、人は踊り続ける。その想いは龍となり、いつの日か届くことになるでしょう。
皆様の健やかな一年を祈念します。
2024年元日
木野彩子
地震の後の復興は大雨もあり、なかなか進んでいません。
皆様が温かいところで年を越すことができていますように。日々の暮らしが普通に送れることの大切さを強く感じます。
レクチャーパフォーマンス『踊ル?宇宙ノ旅 長野・伊那版』
日時:2024年8月30日18時30分開演
8月31日10時30分開演
場所 長野県伊那文化会館 プラネタリウム
構成・出演:木野彩子
プラネタリウムオペレーション、解説:松尾美恵(長野県伊那文化会館)
音楽:水谷浩章(コントラバス)
特別ゲスト:福澤歩(30日)、深瀬あを(31日)
プラネタリウム映像制作:宮部勝之
主催:長野県伊那文化会館
共催:長野県、長野県教育委員会、伊那市、伊那市教育委員会
後援:鳥取大学地域学部附属芸術文化センター
企画協力:Dance New Air、NPO法人ダンスアーカイヴ構想
映像・写真協力:国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト(4D2U)、鳥取大学医学部染色体工学研究センター、鳥取大学電子顕微鏡サークル、電子顕微鏡のまち・米子市推進協力会、一般財団法人松澤宥プサイの部屋
本公演はダンスフェスティバル「Dance New Air2020→2021」(2021年11月港区立みなと科学館)で上演された『ダンスハ體育ナリ?其ノ三 2021年:踊ル?宇宙ノ旅』を伊那市文化会館のプラネタリウムに合わせて再構成したものです。
2021年東京みなと科学館で行ったレクチャーパフォーマンス『ダンスハ體育ナリ?2021年:踊ル?宇宙ノ旅』のうち宇宙の旅の部分を中心に長野県伊那文化会館版を制作しました。東京、鳥取、高知、長野と小さいながら上演を続けることができ、その旅ごとに現地の方と一緒に作品を深めていく作業が続いています。今回はプラネタリウム解説員の松尾さんにご協力いただき(松尾さんのお家及びご実家にとめていただくなど、個人的アーティストレジデンスでした)、さらに音楽部分は伊那市在住の水谷浩章さんの演奏と、シンガーソングライター福澤歩さん、深瀬あをくんの日替わりゲストによる「伊那市のうた」(作曲:高木東六)もふくめた伊那限定の特別版です。内容的にも松澤宥に言及するなど、宇宙県長野ならではになっています。(長野県のプラネタリウムさん、ぜひお声かけいただければ!)
◎執筆
鳥取夏至祭ドキュメント制作
2017年に始まった鳥取夏至祭はコロナ下をへて変遷しながら7年間続いてきました。今回鳥取クリエィティブアートプラットフォーム(Tplat)が県内のアーティストレジデンス団体のアーカイブを作成しているのに混ぜていただき、ドキュメントを作成しました。
年明けに届く予定で、参加者の皆さん、関係団体等にお配りしていきます。
過去の夏至祭にご参加いただいた方で、この冊子を欲しいという方は木野もしくは鳥取夏至祭実行委員会(geshisai2023⭐︎gmail.com、星を@に変えてください)へご連絡ください。
鳥取のちいさな広場のはなし
鳥取夏至祭で開拓してきた鳥取の公共空間や空きビル、公園、空き地。そのうち風紋広場におけるジェントリフィケーションについて小さなエッセイのような文章を書きました。駅前の再開発はバスターミナルを中心に進んでおり、風紋広場もなくなるだろうとされています。で、あれば、どのように変化していくのか、そしてこれからの鳥取市に必要な空間とはどういうものなのだろうかと考えさせられます。(鳥取大学地域学論集)
また、これとは別に現在新版の「地域学入門」(鳥取大の地域学部の教科書のようなもの)のためのテキストを書いています。出版されるようです。
◎ワークショップ
おととからだであそぼう!即興音楽とダンスのワークショップ→わらべ館主催事業に
新井英夫さんと学ぶ野口体操と体奏講座
真庭図書館館長の西川正さんに人と人をつなぐ場づくりのコツを伺いました。また参加者の皆さんとオンライン上ではありますが、様々な相談事をシェアする時間を作り、同じような悩みを抱えている人は多くいて、一緒に相談する時間、場を作ることの大切さを感じます。
今年度も2月に予定しています。(今年のテーマは「ヒトはなぜ踊るのか?・なぜ踊らなくなったのか?〜ことばだけでは伝えられないこと・生きることと表現すること〜」です)
ぶたいでASOBO!
米子コンベンションセンターより依頼があり、子供達のための舞台体験と小中学生の舞台技術講習会をかさねて実施しました。好評とのことで、来年以降も継続開催していきます。
鳥取大学附属幼稚園でのぴょんぴょんサークルなどでも親子向けワークショップを開催しています。
即興音楽とダンスのワークショップ(岡山県総社市)
金子泰子さんに招かれ、即興音楽とダンスのワークショップを開催しました。総社にはこれまでも何回か招かれており、ありがたいことです。
◎パフォーマンス
ひつじ雲に乗って
池田千夏(ピアノ)、水谷浩章(コントラバス)と共に、東京から長野へ向かうツアーを行いました。
月花舎(東京)はもともとは茶会記として四谷三丁目にあった喫茶店兼イベントスペース。私も大変お世話になっており、懐かしい人に再会する他、彼らの新しい再出発を祈るような踊りになりました。
桜座(山梨)は即興業界的には知られた場所で、私はダンス白州に参加している時に田中泯さんの公演を見に連れてこられました。お客さんは少なかったのですが、舞台の方を使わせていただき、贅沢な時を過ごしました。
さわやまサロン(松本)、明石商店(伊那)はいずれも初めての場所でしたが、おきゃくさまにもめぐまれ、楽しい時間を過ごさせていただきました。明石商店さんは宿泊、ミニシアター、カフェを併設しており、鳥取のたみともつながりがあるとのこと。素敵な場所であると共に、今後こういうところが増えていくといいなと思いました。
冬のおとづれ
岡山県総社市で活動する金子泰子さん(トロンボーン)が「鳥取夏至祭的なことをやってみたい」として企画したイベント。サポートに伺いました。会場は堀和平邸。200年前に建てられ市に移管された後も一時は取り壊されそうになっていたなか、NPO法人が立ち上がり、理事の金丸さん他が大切に守ってくださっていました。ミント栽培を広げようとしているそうで、ミントオイルを購入してきました。なお、母屋の室内では曜日替わりでカフェが営業されているのですが、おすすめです。おいしかったです。
◎その他
鳥取大学学長表彰
これまでの鳥取県内での舞踊活動を評価され、学長表彰をうけました。内情では女性の受賞者がいないので出てくれないかと頼まれたアフォーマティブアクションでもあるのですが、いただけるものはもらっておけという恩師の言葉をうけて、いただくことになりました。
ガザモノローグを読んでみようの会
ガザモノローグというヨルダン川西岸地区のAshutale劇場が制作した戯曲(モノローグとあるだけあり、個人の言葉が主)を読んでみる会をたちあげました。おおよそ月1で次回は1月25日、砂鳥ビルにて、マクルーバ(現地の混ぜご飯的なもの、最後にひっくり返す)を作りながら、ガザの話などを一緒に話してみませんか?
水本俊也写真展
2020年−21年のコロナ下でのお正月時期に撮影した雪の鳥取砂丘での写真が、水本さんの個展で特集されました。ギャラリーそらの2階部分全フロアでの展示でした。(砂丘を特集した「たくさんのふしぎ」の出版記念)
二紀展
鳥取大学の西岡千秋名誉教授(専門は声楽)が定年退職後写真を取るようになり、1月の静鳥取公演の写真を出展、受賞したとのこと。そのため、全国巡回展で木野の写真がまわっておりました。(それを見かけ連絡くださった皆様ありがとうございます)
◎学生企画
ちっちゃな焚き火倶楽部
コロナによって変わった学生生活のうち、最も大きかったのは知り合い以外に出会わないことでした。特に同じ学部以外の人に出会うことがないとのこと。ささやかながら、鳥取大学学内で「ちっちゃな焚き火倶楽部」を開催し、学部、サークルなどの垣根を壊すような試みを開催しました。
今年はわらべ館と米子児童文化センターで親子で楽しめる演劇「まいとどーりぃ おもちゃの国の大冒険」を製作中です。
昨年もガザ問題もあり、親友の死もあり、クリスマスや正月だからと祝えないちょっと寂しい年の瀬になりました。そしてそれは今も続いています。世界中から紛争は無くなったことはなく、昨年までの私はそれをみてこなかったのだということに気がつきました。みてこなかったというよりは、知らなかった、あるいはみようと努力をしてこなかったということです。
宇宙の旅では「みえない未来をみようとしているだろうか」と話しています。福島(の原子力伝承館の裏)で雨に打たれ踊りながら、これだけ地震の多い国でありながら、再び何もなかったかのように東日本大震災の前に戻すことはできるはずはないと思いました。「未来はわたしたちがつくるものなのです。」
静公演の際には友人の死を体感するちょっと不思議な体験もし、能登半島の地震のこともあったので、今年は1年様々な土地を回り、祈ることにしました。Passed awayという英語の表記は悲しいのですが、なんとなくこの世もまた束の間のものに過ぎなくて、ちょっと通り過ぎただけのようにも思われます。
それでも生き続けなければいけないわたしは、せめてこの世からいなくなるまでの短い時間、少しでも多くの生き物が悲しまず、苦しまず、恨みを残さないように、幸せな感覚をもてるように生きていけたらと思いました。