2014年11月7日金曜日

Dance Potlatch

ダンスの贈り物
という名前のDVDをBankARTさんつながりで作ってくださいました。
今回のcafe liveは今後のプロモーションに使えるようにダンスDVDを作ってくださるとのこと。 過去作品をまとめてみました。


ダンスは神さま(自然全体)への贈り物であると同時に、お客様への贈り物、そして様々な方が心を尽くし下さった(私がうけとった)贈り物。
作品を見るとプロデューサーさん、劇場さん、制作の皆さん、スタッフの皆さんの顔が浮かんできます。
Edgeは赤レンガのソロデュオで賞をいただいたもの。多くの方に出会うきっかけとなりました。今は亡き高谷さんや石川さんがとても大事にしてくださいました。

IchIはロンドンで作った作品。Place prizeで制作した後もspring loaded(プレイスの春フェス)、青山と旅をしました。その時ごとに大きく変化し、成長してきました。アシュフォードさんに出会った作品。もちろんエディにも。また、ラッセルさんへの疑問の投げかけでもあり、静につながる作品です。(静の中にもIchIの振付は含まれています)

からたちからはベースは「札幌市中央区南6条西26丁目」という踊りにいくぜで上演した自己紹介が元になっていました。AMANOGAWAを経て、また銀河鉄道を経て、告解という意味も含め作り直し、コールシャンティさんも巻き込んで作りなおした作品です。

AMANOGAWAプロジェクトは私は踊っていませんが、多分このワークがあればこそのからたちで、私はなぜ踊るのかを考える上でとても大切な作品です。今回時間の都合で本編しか入っていませんが、ワークショップや写真、テキストの記録等も含めての作品です。川崎市アートセンター(当時はANJが指定管理者制度で運営)の皆様と銀河鉄道クリエーションをうけ、更に311をうけ、失うこと、遺すべきこと、一緒に作ってきたものです。

静の写真なども含め、ちょっと集大成のようなものができました。
そのため表紙が顔写真(これは溝端さんの発想です)。
ちょっと遺影っぽい。
ここでしんでもいいのではないかと思う。

メニュー画面の音楽はNever let me go.
この3年くらいずっと喪に服していたのだということにも気がつきました。
決して忘れることはなく、しかしいつか乗り越えていきたいと思います。



追記
その後potlatchという言葉についてしらべました。
アメリカ先住民の中にある様々な儀礼のたびに大判振る舞いをする風習だそうです。お互いにもてなしあい競い合うのだとか。
Wikipediaによれば
この言葉は、チヌックジャーゴン(Chinook Jargon)で「贈る」または「贈り物」を表す言葉に由来する。ポトラッチは太平洋岸北西部先住民族の重要な固有文化で、裕福な家族や部族の指導者が家に客を迎えて舞踊や歌唱が付随した祝宴でもてなし、富を再分配するのが目的とされる。ポトラッチは子供の誕生や命名式、成人の儀式、結婚式、葬式、死者の追悼などの機会に催された。
と書かれています。
今回でいえば追悼なのでしょうか、ともあれ、なにかしっくりします。うちは裕福ではないですが、なにか自分がうけたものを分け与え、そして皆で共有していくという感じかと。思えば経済的にはかなり成り立たないのですが、それでもこの文化が続いているのはそんなPotlatch精神が生かされているのかもしれません。私が選んだ言葉ではないですが、舞台芸術はそういうものなのかもしれません。
そしてまたうけたものを他の方へ分配していく、その繰り返し。
私がもらったpotlatchそれを誰かへ。



BankARTもしくは木野、キノコチケットにて取り扱い。なんと500円という超低価格です。木野からお買い上げいただくと踊るキノコ基金になります。

Dance and Music(Mobius)

フランス人チェリストHugues Vincentとダンサー木野彩子が試み続ける即興と作品の狭間。
四谷茶会記の小さな部屋でひっそり行われる美しく濃いひととき。

綜合藝術茶房 喫茶茶会記
新宿区大京町2-4 1F 電話 03-3351-7904
2014.11.2(Sun) 19:30Start
Fee:2500 yen( 1drink inc.)
問合せ:kinokoticket@gmail.com(キノコチケット)






Dance and Musicはここ数年模索しているダンスと音楽の作品づくり。
かれこれ10年来の知り合い(親友というべき?)Hugues Vincentとああだこうだと作品づくりをはじめて、しかしいっこうに劇場作品になる気配はない。というのもHuguesにとっては別に作品化は大事ではなく一緒に何かやっている過程がすきで、彩子がつくりたいなら協力するけど時間も場所もないしねということ。正しくは場所はある。稽古も発表も。ただHuguesいないから。

ともあれ、即興と作曲(振付)の間は非常に難しく、練習を重ねればどんどん新鮮みをなくしてしまう。しかし練習あるいは戦いなくしては新しい次元へは到達できない。
今日のパフォーマンスも見た人は気がつく気がつかないいろいろあるかもしれないが、実は多くのトライアルをベースにしている。
札幌資料館・滝川自然美術館dance and musicパフォーマンス(札幌は上地正彦、中沢レイ、滝川はさらに高橋ちひろ)
昨年のHuguesとの茶会記パフォーマンス
ベルリンのSara(上地正彦、中沢レイとのカルテット)
トゥールのパフォーマンス(中沢レイとあわせてのトリオ)
パリベルタンポワレ”Mobius"

今回見た人は決まっているのかとおもったと話したが完全即興。ストラクチャーもない。(冒頭だけきまっている)が練習の中で話していたことの多くは取り入れている。一シーン、横たわる私にたっているユーグのシークエンス(見た目的にエロ要素倍増なのでカットしてよかったと私は思う)だけ微妙にしそびれた感がある。

終了後作品とは何かという話しになり
Huguesはもっとコンポジションを重ねることだと思っているらしい。
大事なことはきちんと場所を選んでまとめていくことではないかと私は感じていて、裏静というべきこの作品(まさかこんなにリンクするとは思わず衝撃を受けた)なだけにちゃんとみせるべきだったと思ったりもする。

売り出すべき宣伝材料もなし。
なにぶん暗すぎて映像はとれなかったという。しかも途中できれている。

すべては記憶の中に。

(私たちの中では白静とよんでいます)

2月にBankART3階の倉庫空間にて上演した「静」を2階の白い空間にて作りなおすことにしました。 「静」というタイトルは有名な白拍子静御前が由来です。日本中世における男装の舞である白拍子舞は巫女と遊女という両極の女性像を内在しており、舞踊の根源を探るうえでとても興味深い事例だと考えます。しかしながら現在伝承されてはいません。資料や民俗芸能へのリサーチを元に現代における白拍子の舞を創り出そうと考えました。音楽に国内外で活躍する箏奏者八木美知依さんと照明三浦あさ子さんと再び、つよく、うつくしき女性像をうかびあがらせます。 

2014年10月19-25日まで横浜トリエンナーレ中に公開製作を行い、まとめました。



日時:          1024日(金)19:30開演
      1025日(土)19:30開演
場所:          BankART Studio NYK 2Bギャラリー
神奈川県横浜市中区海岸通3丁目9
料金:          2000円(1ドリンク付き)

構成出演:                    木野彩子
音楽出演:                    八木美知依(17絃箏、21絃箏、歌)
照明デザイン:              三浦あさ子
照明オペレート:            古矢涼子
オリジナル衣装デザイン:   宮村 泉
音響効果:                     Mark. E. Rappaport
記録写真:                     小熊 栄
記録映像:                     中川泰伸
協力:               上本竜平、桑原淳、蔀 健、御代田直樹、山田恵、内藤久義
     スタジオマキノ、日本基督教団巣鴨教会



主催:    BankART Studio NYK
                   BankART cafe live 2014          



白静プログラムより
伝説の白拍子、静御前とはどのような人であったのかに想いをはせながら、作品作りを行ってきました。
白拍子というものが伝承されておらず、私の作品もあくまで一つのアイデアでしかありませんが、もしも静という人がこの現代によみがえったならととらえなおしてみました。
愛する人を想うがゆえに蛇となり、鐘にとりついてしまう道成寺の白拍子や、愛する人を待ちつづけ白河のように髪が真っ白になってしまった檜垣の白拍子、中世の様々な女性の姿をみてきて、私が静からうけたのは一人で生きていく覚悟と強さでした。
最終的に吉野山で義経と別れたあと再び会うことはなく、その子供も殺されてしまい、頼る人もなく静は悲しみの中なくなったと思われます。
しかしながらその強さは日本全国で伝説として語り継がれることとなります。
白拍子は遊女のように時代を経るにつれて身を落としていきます。しかし元々は神に祈るために踊ってきました。静は鶴岡八幡宮で何を踊ったのか。それを探そうとする試みです。

この作品は2010年ギャラリー招山(由比ケ浜)でのパフォーマンス、「しづ」(2012 神奈川芸術劇場大スタジオ 文化庁新進芸術家海外研修員による現代舞踊公演)、今年2月に行われました「静」(2014BankART Studio NYK 3Cギャラリー)をふまえて作成しました。時をこえ、場所が変わりつつも、作品を練り続けていくことができることをうれしく思います。関わり支えてくださった皆様に御礼申し上げます。                                                                              
                                                                                   

                                                                                                                        木野彩子

オリジナルの静(2014年2月発表)については以下をご覧下さい。
http://saikokino.blogspot.jp/search?q=静

BankARTウェブにも紹介されています。http://www.bankart1929.com/eastasia/event/index.html

この企画にあわせDVD「Dance potlatch ダンスのおくりもの」が作られました。これについては追ってリンクします。




静御前について
http://saikino.blogspot.jp/2014/10/blog-post_18.html

白静スタッフの皆様
http://saikino.blogspot.jp/2014/10/blog-post_30.html