2015年10月25日日曜日

一期一会第3回 森重靖宗さん(チェロ、写真)


一期一会 
四谷三丁目の小部屋に集まる方々と語り、それをもとに踊るシリーズ。毎回テーマをもとにプレ・アフタートークを行い、身体について学びます。前からよく知っているのに実は初顔あわせなあの人に出会う会。

第3回10月18日 音と写真の一瞬について ゲスト:森重靖宗さん(チェロ、写真)

森重さんはユーグと仲良しということもあり、まえからよく知っていて、しかもよく聞いている(みている)のに、ちゃんと二人で話すということはあまりなく、謎の人だったので、今回お招きしてみました。寡黙な(福地さん曰くストイックな)イメージのある森重さんの別の一面をみることができました。

実は今回会のはじまるまえに少し早めにきてもらっていろいろお話をしていました。ちょっと反省です。
高校時代は普通にバンドやっててギターとか弾いていた話し(なんとそのせいか、灰野さんバンドでベースをやるのだそうだ)や、チェロはすべて独学でマスターしたそうで、工夫の日々という話し、練習曲としてバッハ無伴奏チェロを弾いていること(ちなみにこの日も2人で没頭してしまい、それで開場が遅れました。)など演奏のこともさることながら、写真のことが個人的には興味深かったです。
写真はあくまで、ちょっととってみたレベルのもので、自分は写真家だとは思っていない。しかし写真のなかで日常の普段通り過ぎてしまうようなことに気づく、気づかせるというのが好きで、少しずつ撮っているそう。
写真それ自体というよりもそれから選んで並べたり、並べ替えたりする作業が作品だと思うという話しは音楽等にも同じことがいえる。また、それを選んで並べるからには何かの差があるからでその差を言語化していく感じなんですとのこと。
音楽もダンスも感覚的なので、言語化するのが非常に難しい。
でもAじゃなくてBというからにはBにしようと思う理由(つまりAとBの差)がある。そこに気がついていく作業という感じでしょうか。
あとは次回のゲスト杵屋さんがきてくださっていて、型の話しでちょっといいことを言っていました。型によって皆のレベルがアップし、確かに上手くなる。しかしそれによってそれを超えることはできなくなってしまう。

芸道の多くは見て盗めと言います。
私の師牧野京子はかつてはともかく少なくとも私に関しては放任主義でそのまま放っておかれました。教わってできるようになるようなものはそのレベルでしかないし、それを超えるための方法論が盗むこと。誤解を生じることがあったとしても、それが新しい何かを見つけ出すきっかけになるかもしれない。言語化をさけることで可能性が広がるのかもと最近になって思います。

どんな動きも、演奏も、すべて模索のくりかえし。

セッションハウスカトルカールワークショップ

10月4日 セッションハウス カトルカールワークショップ企画
超スーパースペシャルベーシックなからだづくりをテーマに。

2015年10月1日木曜日

作品分類

木野彩子主要作品
これまでの作品はテーマごとに深化(進化)させる形で作られているため、3つに分類して説明する。(全作品、公演記録ではない)

分類Ⅰ 日本の美しさ
イギリス生活中に感じてきた日本にある美しさ(海外においては自身のオリジナリティでもある)をテーマにした作品群。照明効果の追求(光と影、闇Jackie Shemeshと三浦あさ子には継続的に関わっていただいている)の他、帰国後は伝統芸能(花祭、綾子舞など)のリサーチを行い、創作のヒントとしている。
IchI(2008,初演時は15minその後23minに延長された)
初演The Place Prize 2008 ( London)
改訂再演Spring Loaded2009 ( London)
日本初演Dance Triennale Aoyama2009(東京)
 私(I)と私(I)の間に何かが挟まっている。私と影(もう1つの自我)の関係性を光と影を用いて効果的に表現した。 Alies Sluiter( music),Jackie Shemesh( lighting),針生 康(装置),上野天志 (ダンス)とのコラボレーション
Review
This was pretty much the perfect article. Two tremendous classically-infused dance performances by Kino and Takashi Ueno; wonderful lighting that captured the essence of the work’s ghostliness, not least in Kino’s giant shadow enveloping and consuming her partner at the work’s conclusion; and a tremendous original score played live on stage by its composer and violinist (Alies Sluiter), together with Laura Anstee (Cello) and Adriano Adewale (Percussion). As a collaborative work of dance art, it was simply tremendous(Graham Watts)

《しづ》2012, 20min
         初演 神奈川芸術劇場(横浜)大スタジオ
  八木美知依(17弦、21弦箏)、三浦あさ子(照明)、宮村泉(衣装)とのコラボレーション。静御前の舞を題材に制作。

《筒井筒》2013, 20min
         初演 ティアラこうとう小ホール(東京) 舞踊作家協会公演《森に浮かぶ》
能《井筒》を元につくった舞踊劇。ノブナガケン(フレームドラム)が僧役として参加。

《静》(2014,45mi+開場時演技15min)
         初演 BankART studio(横浜) NYK 3Cギャラリー
         改訂再演 BankART studio(横浜) NYK 2Bギャラリー Café Live 2014
 2012年に発表した“しづ”をもとに八木美知依(17絃箏、21絃箏、歌)と三浦あさ子(照明)とともに再構成を行いフルレングスの作品として完成させた。巨大な倉庫空間に祈りの空間を浮かび上がらせる試み。その後好評をうけ、横浜トリエンナーレ2016の一貫として白いギャラリー空間に場所をかえ、公開製作、再構成を行う。

分類Ⅱ 即興の可能性
 即興を繰り返し行うと必然のある振りが残る。しかしながらさらに突き詰めていく。多くの即興音楽家の協力のもと、様々な試みを行っている。他に即興音楽家によるオーケストラ(Tokyo Improvisers Orchestra)への参加等も行う。
Edge》(2003,15min)
                      初演:横浜ソロデュオコンペティション 2003 にて横浜市芸術文化振興財団賞を受賞
再演:Japan Korea dance contact(青山円形劇場、ソウルアルコ劇場)Next wave dance Korea 2003(ソウルアルコ劇場)、横浜赤レンガ倉庫1号館ホール(《かめりあ》の一部として)

Piece》(2012,15min
                 初演 横浜赤レンガ倉庫1号館ホール《10年10色》
      小山史野(ダンサー)、田中徳崇(ドラム、音)、戸井香織(照明)、木野彩子(振付家)

Mobius(2014-5 around 60min)
    初演 綜合芸術茶房 喫茶茶会記
     劇場版初演 Espace Culturel Bertin Poirée(パリ)
フランス人チェリストHugues Vincentとのコラボレーション作品。即興と振付、音楽とダンスの間を探る試み。膨大なリハーサルを繰り返した後の即興。


分類Ⅲ 私とはなにか
IchI》では私(I)ともうひとりの私(I)の間をテーマに作品制作を行った。しかもそれらは1つだという。私という存在とは何かと自身の内面をみつめてきたが、その方法論を一般市民に応用。ダンスの要素を利用しつつ、自らについて考え、話しをしていく。
それらを記録としてまとめる作業をへて、自身の作品へと昇華していった。

北海道札幌市中央区南6条西26丁目(2009)
       初演 JCDN踊りにいくぜ、札幌公演(コンカリーニョ)、佐世保公演(アルカス佐世保)
生まれ故郷で作成した自己紹介のダンス。文字通り自分の生まれてから現在までのダンスをめぐる歴史を話しながら踊る。なお、タイトルは木野本人の本籍地。

かめりあ(2010,70min)
      初演 横浜赤レンガ倉庫1号館ホール
7年前の受賞作Edgeのリメイク杉劇リコーダーず(横浜市杉田劇場で活動する団塊世代と小学生からなるリコーダーグループ)との共同製作作品こどもたちのうまれるとき、祖母との対話より作成したかめりあよりなるフルレングスピース。三作品を通してみることで「年を経るということ」「伝え、遺すということ」がみえてくる。ソロデュオコンペティションの受賞者公演として上演された。(主催:横浜市芸術文化振興財団、木野彩子)

AMANOGAWA プロジェクト 新百合ケ丘 20120311(2012)
         川崎市アートセンタークリエーションサポート事業
         映像:427FOTO
         音楽:上地正彦
         写真:古里麻衣
         制作アシスタント:尾花藍子
川崎市アートセンター(アルテリオ小劇場)において平成2223年度クリエーションサポート事業対象アーティストとして、劇場のある新百合ケ丘周辺の一般市民18名と映像作品《AMANOGAWAプロジェクト》を作成した。東日本大震災をうけて、自らの生き方を見直すことを目的としている。高校生から60代までのそれぞれの考え方、感じ方を話していく。からだをほぐすことで話しやすい環境を作り、より深いお互いの理解を促す手法を生み出した。その過程を大切にするため、テキスト、写真、映像により記録、蓄積化を試みる。https://sites.google.com/site/amanogawaproject/

《からたち》2012,60min
       初演 日本基督教団 巣鴨教会
札幌市中央区南6条西26丁目を改訂、後半に《AMANOGAWAプロジェクト》のシーンを取り込むことで、個人の歴史と教会の成り立ちを重ね合わせる作品作りを行う。

《からたちから》2013, 60min
       初演 日本基督教団 巣鴨教会
2012年発表の《からたち》を1年半のリサーチとともに再構成した作品。木野の個人史よりも信仰とは何かをテーマにより深く問いかける。教会で活動するコールシャンティ混声合唱団(指揮:野本明裕)に合唱と動きで参加していただく。同教会牧師渡辺善忠さんによるオルガン演奏も作品内に組み込む。

AMANOGAWA プロジェクト 札幌 20150311(2015)
       映像:中川泰伸
       写真:古里麻衣
楽曲提供:上地正彦
協力:NPO法人コンカリーニョ、レッドベリースタジオ、天神山アートスタジオ他
ワークショップとダイアログにより札幌市民10名とともに映像を制作した。東日本大震災から4年が経ち薄れていく記憶を忘れないための試み。記憶にフォーカスをするため、廃校を利用したアートスペース(あけぼのアート&コミュニティセンター)を舞台に、札幌市民の今を切り取ろうと試みた。http://amanogawa-project.jimdo.com





2015年9月25日金曜日

ダンスのための6人 vol.3

ダンスのための6人vol3無事終了しました。

アラフォーダンサー6人、色濃いメンバーが集まりました。
7年ぶり、15年ぶり(ちなみに吉福さんや福留麻里ちゃんいはじめてあったのは2002年、STでのことです)という懐かしいメンバーに出会えたのは本当に嬉しかったです。そして皆かわっていないことに驚きと嬉しさを思いました。人の本質はそう変わらない。それぞれにブラッシュアップはされているけれど、でも本質は同じ。公演中にもいろいろお話できたりして。そのかわらないが素敵だと思いました。10分という時間はあまりに短く、難しいです。でもそこに凝縮された思想というか生き方がみえたような気がします。
映像は初日のもの。でも大きく変わりました。みれなかった人は残念でしたね。毎日の変化を見つつ話しつつ過ごせた時間はある意味宝物。それに気づいて急遽リピーター割引を設定しました。ダンス公演にロングランはなかなかないのですが、本来は口コミなどで広がっていくはずで、そういう面白さ大事にすべきという考えからです。
ミョンフィさんは毎回異なる即興(事前にコンセプトを音響、照明と打ち合わせをする)曲、照明、衣装全て異なる6回。
太田さんはすごい緻密につくられているのに(曲もある)、最後だけが毎回異なる。
そう、それらを毎回みながら、ああだこうだといいあいながら進んでいくその日々がすごい面白い。
吉福さんスタジオあればこそのこの企画なのですが、贅沢すぎる、幸せの時間でした。美味しいケータリング(1日目は豆ご飯と豚汁、2日目はもずくスープとちらし寿司)。ありがとうございます!

”フィボナッチの憂鬱”
珍しく楽しそう、うれしそう、女の子っぽいという感想が聞かれる今作。
珍しくスカートはいてるし!
今回吉福さんに10分だし、こういう場所だからふだんやらないような冒険もできるのではといわれていたこともあり、暴挙(?)にでました。ミョンフィさんも普段はすごくつくり込む作家さん(と少なくとも私は思っていた)し、まりちゃんもひとり、即興ってなかなかないし。皆がそれぞれに課題を持って冒険に出ている今回。ある意味、全く異なるアプローチで挑みました。が、私の場合、実はセッションハウスで発表した”En attendant,,,,"と兄弟のような構造になっています。両方みた人にしかわかりませんが音か光か、静か動かの違いです。詳細またブログにて。まだかけていませんが。後日!

終演後即とった写真。木野の手の長さをいかして(?)自撮りしました。