2020年12月31日木曜日

2020年

 2020

新型コロナウィルスの流行により、大打撃を受ける舞台芸術業界の中、できるべきことを行ってきた。小さい、また地方であればできることも多数あったと思う。

こういう時だからこそ、地域発信型のものを応援していくべきだと私は考えている。

 

一方、オンライン授業や配信番組を見ながら、結局私たちは何がしたいのだろうかと考えた。映像にすることにより世界中に配信できる一方、本来の舞台芸術の良さから抜け落ちているものも確実にある。では、本来の舞台芸術とはなんだったのかということだ。

映画、テレビドラマ様々な映像文化があり、そこで真似事をして配信事業を始めても結局は「資産のある」プロジェクトが勝つだけに過ぎない。あえて、生身のパフォーマンスにこだわるのであれば、その意味を出していくべきではないだろうか。

呼吸や間合い、そして気配。

今ない価値観を作り出すこと。

今見えないでもあることを見えるようにしていくこと。

それらは言語化、デジタル化できない範囲で、それこそが人にしかできない部分かもしれない。AI化が進む中、人としてできる最後に残された範囲なのではないかと密かに思っている。

 

作品

『【補講】ダンスハ保健体育ナリ?』(映像作品27分、後に15分バージョンも作られる)

鳥取大学同僚佐々木友輔さんとの共同制作。これまでのレクチャーパフォーマンスシリーズ『ダンスハ體育ナリ?』のコロナ対策特別バージョン。3月初旬のオンライン映像祭Films from no where に出品。http://kannaibunko.com/event/937

大岩雄典さんの批評https://bijutsutecho.com/magazine/review/21915

 

『鳥取夏至祭2020

例年3日間の即興音楽とダンスのフェスティバルとして行っているものの、新型コロナウィルス問題で3月後半に中止を決定。参加希望者に声かけを行い、オンラインのフェスティバルとして開催。毎週2回のリハーサルを行いながらオンラインでできることの可能性を探り合い、621日(夏至)にはわらべ館でオンライン・オフラインイベントを開催した。鳥取県内の感染状況を踏まえ、県内参加者は集まり、わらべ館を紹介したりワークショップを行うこととした。

このコロナ問題は長くかかるだろうことを予測し、できる時にできることを。それを踏まえての判断でもある。

 

『ダンスハ體育ナリ?其の二.五 札幌編 木野彩子きのさいこを語る』

舞台芸術は半年、1年前に企画が決まる。コロナがここまで問題になる前に企画していた舞台公演を、今、できることを行える時にと思い、超少人数観客、オンライン配信で開催した。2020年オリンピックが開催されるか危うい状況ではあるが、なぜ、急に札幌がマラソンの会場になったのか。実はIOCが札幌でオリンピックをしたいという願望であるものの、そもそもオリンピックのあり方を問わねばならないのではないか、それを問うためのものであった。札幌の街はオリンピックでできていると言って過言ではなく、雪まつりも自衛隊の協力あってこそでもある。沖縄の問題は私の故郷である札幌、北海道の問題にそのまま重なってくる、そう思って作成した、自分語り作品でもある。

 

母はそれを恥と思い肺疾患を抱えているにもかかわらず、関東へと出て行った。みなくても良いと思っていたが、よほど許せなかったのだろう、その後攻撃になり、それは私にとって悲しいことであった。これまで私はいつか理解してもらえるものと思って、また母から社会的な地位を求められていたので、努力していたものの(だから鳥取で大学の先生にもなったんですね)、今回の件で、私が踊り続けること自体が許せなかったのだということに気がついた。悲しいことではあるが、経済的には苦労していない両親から離れ、生きることにした。

 

それに伴い、ブログを閉鎖し、私は生きていないことになった。

 

いなくなるように努める。

それはもうだいぶ前から続いている。


『私という名の現象』

ダンスボックス (神戸)の照明研究会で行った12分の作品。宮澤賢治『春と修羅序』の詩をもとに作成。三浦あさ子(照明)とのコラボレーション、1月3日より期間限定公開予定。

 

asynchronous 非同期的

マリンバ奏者tomo.さんにお声掛けいただいたパフォーマンス。

実は外からの依頼で鳥取でパフォーマンスをするのはほぼ初めて。(菊池ひみ子さんに誘われた鳥取夜市のまちなかパフォーマンスは別として)夏至祭、銀河鉄道祭いろいろ行いながら、かれこれ5年誰からも誘われないままいた時に声をかけてもらい、救われました。

会場が家の近所(Ano soko)ということもあり、まさか身近にこんなスペースができていたということにも驚いたし、燕珈琲さんはじめ多くの人に出会うことができました。ありがとう、tomo.さん。

 

oil,water and woman

鳥取県立博物館の現代美術展示の中で踊ることにしました。原口典之さんの作品『oil and water』の水のプールで踊ることになったので、足してみました。リハーサルを行い、いろんなことが想起され、『死者の書再読』(2018)、『みみをすます』(2017)、『静』(201420122010)『筒井筒』、『OvO』『Edge』などいろんな作品の要素を詰め込んだ(少なくとも私はそれを思い出した)機会となりました。

 

企画

わらべ館 音とからだで遊ぼう! 即興音楽とダンスのワークショップ

鳥取夏至祭と共に始めたこの企画は例年夏至祭の関係者に再び鳥取にお越しいただくことにしていました。今年はコロナ問題を受けて鳥取メンバーでなんとか頑張ろう!という形になり、荻野ちよさん、田中悦子さん、森本みち子さん、高橋智美さん(わらべ館職員)が様々なアイデアを出しながら開催してきました。

途中照明の三浦あさ子さん、体奏家新井秀夫さんにお越しいただきながら、自分たちでできることを模索した会でもありました。最終回11月のレポートは荻野さん、田中さんに書いていただきました。

http://www.rs.tottori-u.ac.jp/artculturecenter/artmanagement2020/archives/news/warabe_20201128/index5432.html?post_type=news%26p=5424

 

2021年は文化庁事業としては申請をしていないのですが、なんらかの形で少しずつ続けていけるようにと思っています。

 

フクシアート まちなかパフォーマンス

11月に開催されたまちなかパフォーマンスは私の企画ではなく、アートスペースからふるさんからのお声かけなのですがコーディネートを担当し、様々な方に関わっていただきました。6月夏至祭を開催できなかった代わり、でもありますが、普段関われないところにも携わることができ良い機会となりました。

 

 

これらを経て思うことは、

映像や配信事業ゆえの広がりはあるものの、それを追求したら映画やテレビドラマに吸収されてしまう。なぜ私がパフォーマンスを行うのかを考える必要がある。親にまで否定されながらそれでもせざるを得ないのは、ただただ自分の大切な人たちに生き延びてほしいと思ったからだ、ということです。

 

すべての人に幸せが訪れますように。