Mobius
Dance and Music series
collaboration betweenChicago Moving company and 木野彩子
HOSPITALE 鳥取
2016.8.27/28 6:30PM
求道会館 東京
2016.9.2 7:30PM
Hamlin Park Theater シカゴ
2016.9.22/23
ごあいさつ
私は踊る時に何者かに動かされていると感じてきました。それが音楽の時もあればその場所の持つ雰囲気であったりもし、おそらく人によってはそれを神といい、私の中のもう一人の自分といい、私は常にそんな”なにものか”とともに生きてきました。
演劇が人との対話と言葉の力により社会とは何かを生み出していく作業であるならば、ダンスはそのような感じ取ってしまった”なにものか”を表していく、そんなものです。目に見えない、言葉にならない何かを私はずっと見つめています。
メビウスの帯(輪、Möbius strip)はドイツ人のアウグスト・フェルディナント・メビウスが思いついた一回転ねじってある帯です。ご存知の通り永久に続く円運動です。フランス人のチェリストHugues Vincentとのトライアルで、彼のアルバム”メビウスの鳥”から名付けられました。(なお、そのアルバムで共演している鉢屋真紀さんとも”鳥”作品を作ることになっています)四谷3丁目の小さな喫茶店から始まった音楽とダンスの関係性を探るこのシリーズは上地正彦(ピアノ、バスクラリネット)、中沢れい(ダンス)などを巻き込み、これまでフランス、ドイツ、札幌など転々と移動しながらパフォーマンスをしてきました。音楽家だけが音を出しているわけではない。ダンサーの声や足音や、衣装の擦れる音もまた音楽だ。ダンサーだけが踊っているわけではない。音楽家もまたそこに存在し時には動くこともある。そして相互に影響を与え合っている。ニーチェが指摘するまでもなく、音楽とダンスの関係性はおそらく永遠に切っても切れない縁と言えることでしょう。交わらないからこそ永遠に続く。メビウスの表と裏は追いかけあっても決して出会うことがないようにこのDance and Musicはずっと考え続けていくのだと思います。
さて、この企画書を書いて提出し、一安心した頃、気がつきました。Mobiusと書いていることに。点々がない。Möbius stripはドイツ語でした(Huguesはベルリン在住なのです)。永遠回帰しそびれたこの帯はどこにつながっているのか。鳥取、東京、シカゴと3つの会場の場所の力を借りながら、メビウスの輪のおそらく真ん中に向かって覗き込んでみます。石炭袋の中のような真っ黒の闇に向かって、おーいと呼び続けるそれもまたダンスなのです。
ダンスの見方に答えなどありません。
思いついたことを感じたことをそのまま受けとめて、もしできれば私に聞かせてください。その言葉がもしかしたらこの帯の謎をとく鍵になるかもしれません。
木野彩子
鳥取編
HOSPITALEプロジェクト
鳥取市中心地にある横田病院跡地をアートギャラリーとして活用、展覧会、パフォーマンス、ワークショップなどを開催している。
病院内の小部屋を移動しながら見ていきます。ワークインプログレスとしての公演。(東京、シカゴ公演の原型となります)
出演: Chicago Moving Company,
やぶくみこ(パーカッション),
森重靖宗(チェロ),
横山祐太(トランペット),
構成、照明デザイン:木野彩子
映像撮影:佐々木友輔(鳥取大学地域学部附属芸術文化センター)
写真記録:田中良子
協力:赤井あずみ、藤木美里(HOSPITALEプロジェクト)
日時:2016.8.27/28 6:30PM(開場開演同時刻)
場所:鳥取県鳥取市栄町403(鳥取駅徒歩7分)
料金:1500円(当日2000円)
関連企画
アメリカとシカゴのダンス事情について聞くトークイベントを開催。
2016.8.24 7:00PM場所:HOSPITALE
東京編
求道会館
創立者近角常観が浄土真宗の信仰に基づき、仏教によって結ばれる人々の交流を願い建設した教会堂。優れた歴史的建造物として東京都の指定有形文化財になっている。
1階の講堂、2階のアーチ型回廊の両方を用いて作品を展開し、シカゴ公演へとつなぎます。原型となる”En attendant,,,,,”(2015,木野彩子ソロ),シカゴ在住のCMCレジデントアーティスト加藤文子によるダンス作品”Blue Fish”も合わせての公演。
出演: Chicago Moving Company
森重靖宗(チェロ),
横山祐太(トランペット),
木野彩子
照明:加藤泉
楽曲提供:上地正彦「Amanogawaのテーマ」
映像撮影:中川泰伸
協力:蔀健、日本基督教団巣鴨教会、
日時:2016.9.2 7:30PM(開場は開演の15分前)
場所:東京都文京区本郷6丁目20番5号 求道会館(本郷3丁目駅徒歩7分)
料金:3000円(学生2500円,当日500円増)
シカゴ(アメリカ)編
円形、半円形と変化をしながら最終的には劇場にての公演を行う。木野の代表作となる”Edge”(2003,2010),CMCダンサーによるダンス作品も合わせて3作品の公演。木野にとって初のアメリカ公演。
出演:Chicago Moving Company
やぶくみこ(パーカッション)
横山祐太(トランペット),
木野彩子
日時:2016.9.22/23 7:30PM
場所:Hamlin Park Theater
主催:Chicago Moving Company/木野彩子
共催:鳥取大学地域学属芸術文化センター
Hospitaleプロジェクト
supported by MacArthur Foundation(マッカーサー財団国際交流基金)
芸術文化振興基金
出演者プロフィール
Chicago Moving Company (CMC)
Karla Beltchenko, Rachel Bunting, Precious Jennings, Ayako Kato, Jessie Young
今年 43周年を迎えるChicago Moving Company (1972年、前芸術監督ナナ・シャインフラッグにより発足)は、シカゴで最も著名なカンパニーのひとつ。NYタイムズ紙で「大胆、且つ荘厳...桁違いのエネルギー」と評される。その革新的な芸術性とパワフルなパフォーマンスにより、現在までにNational Endowment for the Artsより4度の振付奨励金、Chicago Dance CoalitionのLifetime Award, 及び2014年のNew Stages for Dance Award等を受賞。またベルリン、サルバドール(ブラジル)、ウランバートル(モンゴル)等にツアー、シカゴ・シンフォニーとの共演、シカゴ大学オリエンタル・インスティテュート、ロヨラ大学等より委嘱され、コラボレーションを行う。2007年より、モンゴルとの文化交流を芸術評議会、またダンサーを通じ展開。ウランバートルへのツアーを始め、2013年には、モンゴル人ダンサーOdbayar Batsuuriを国際アーティスト・イン・レジデンスとして受け入れた。2013年、CMCは年間を通じ様々な40周年記念イベントを実施し、国内外の著名なカンパニーがプロデュースされるDance Center Columbia College のシーズンにて記念公演を行う。今回の木野彩子との交換は、2016年MacArthur Foundation International Connections Fund (マッカーサー財団国際交流基金)の受賞によって実現。本作品は、新芸術監督カーラ・ベルチェンコ率いるCMC初の国際委嘱作品となる。1995年以来、CMCはアーツ・パートナー・イン・レジデンスとしてHamlin Park Theaterにて活動を続け、地域貢献を目標としたダンス施設として、たゆみない発展を続けている。
カーラ・ベルトチェンコ Karla Beltchenko
舞踊家、振付家。Chicago Moving Company芸術監督。2010年よりChicago Moving Companyメンバー。2015年英国ロンドンにて、Trinity Laban Conservatoryより芸術学修士を取得。米国、イギリス、イタリアにて作品を発表。ダンスビデオ作品に傾倒し、実験的スタイルにて作品を発表。NET (Network of Ensemble Theatres)の主催によりシカゴ現代美術館、シカゴ・コロンビア大学において行われたMovement Exploration in the Cinematic Mediumにてプレゼンテーションを行う。
レイチェル・バンティング Rachel Bunting
舞踊家・振付家。2002年よりChicago Moving Companyメンバー。シカゴ・コロンビア大学演劇学科講師。フェルデンクライス認定講師。2004年よりダンスカンパニーThe Humans芸術監督。イメージの世界を現実として動きで顕す独特の作品世界はMagic Realismと高く評される。Movement Researchジュッドソン教会パフォーマンス(ニューヨーク)、ニューヨークThe Joyce Theater、The Dance Center Columbia College Chicago主催A.W.A.R.D.Show!等にて作品を発表。2011年Chicago Dancemakers Forum ラボ・アーティスト・アワード受賞。2004年よりChicago Moving Company Hamlin Park Fieldhouse劇場アーティスト・イン・レジデンス。
プレシャス・ジェニングス Precious Jennings
アイオワ州出身。舞踊家・振付家。2009年よりChicago Moving Companyメンバー。シカゴ・コロンビア大学演劇学科講師。ヨガ講師。マッサージセラピスト。2004年よりThe Humansと、またニューヨーク在住のK.J.Holmes、シカゴにて加藤文子、Julia Rae Antonick等とダンサーとしてコラボレーションを行う。2015年、Links Hall LinkUPアーティスト・イン・レジデンスを受賞。近年、Body-Mind Centering (tm) や、演劇の Lucid Body(ルーシッド・ボディ) Technique、及び Grotowski (グロトフスキ)に基づく手法を取り入れ、ヴォーカル、演劇身体表現、解剖学の知識を発展させたダンス作品の制作に取り組んでいる。
ジェシー・ヤング Jessie Young
舞踊家、振付家。写真家。イリノイ大学アバナ・シャンペーン校ダンス学科芸術学修士。写真、ビデオの手法を取り入れ、アスレチックな作品づくりを行う。現在までにFringeArts (フィラデルフィア), The Current Sessions (ニューヨーク), Festival International de Teatro Susana Alexander (メキシコ), Fleet Moves Dance Festival (マサチューセッツ州ケープ・コッド), The Domestic Performance Agency (ニューヨーク) 等にて作品を発表。 ダンサーとして、11を超えるカンパニーと米国内外で公演を行う。jessie-young.com
加藤文子 Ayako Kato
舞踊家、振付家。キュレーター。1998年よりAyako Kato/Art Union Humanscape芸術監督。ミシガン大学ダンス学科芸術学修士。現在、米国シカゴ在住。人間の心身に内在する自然、自己と他者の重力の感得に着目し目に見えない物を動き・舞踊を通し顕す。現在までに振付40作品を創作。50を超える音楽家との即興コラボレーションは100回を超え、米国、日本、ヨーロッパにて発表。その舞踊作品は、NYタイムズ、シカゴ・トリビューン紙等にて高い評価を受けていいる。2010年よりChicago Moving Company Hamlin Park Fieldhouse劇場アーティスト・イン・レジデンス。www.artunionhumanscape.net
森重靖宗(チェロ)www.mori-shige.com(鳥取・東京)
チェロ奏者、即興演奏家。東京在住国内外の数多くの音楽家や舞踏家等と共演。アコースティック楽器の可能性を広げて奏でられるその様々な音響は、繊細かつ豊かで独特である。時に自作曲のチェロによる弾き語りや、ピアノを使った演奏なども行う。灰野敬二率いるバンド「不失者」ではエレキベースを演奏。
横山祐太(トランペット)(鳥取・東京・シカゴ)
トランペット奏者。即興演奏を主体に札幌にて活動中。ヨーロッパ、アジアなど、国内外のミュージシャンとライブやツアーを行う。音楽家以外にもダンサーや舞踏家との共演も多く、田仲ハル、小山彰太等と共演。
打楽器奏者/作曲家、岸和田生まれ京都在住。ジャワガムラン、ダルブッカ、瓦などのを演奏する。演劇やダンスとのコラボレーションや環境と対話する即興音楽を中心 に活動中。淡路島にて瓦の音楽プロジェクト進行中。京都のガムラングループスカル・グンディス主宰。
木野彩子(振付・構成)http://saikokino.jimdo.com
札幌生まれ。幼少よりモダンダンスを始める。お茶の水女子大学にて舞踊教育学を専攻。卒業後は牧野京子のもとで学び、ソロを中心に自らの身体と向かい合った作品作りを行う。”Edge”でYokohama solo duo competition2003横浜市芸術文化振興財団賞を受賞。以降日韓ダンスコンタクト、ネクストウェーブダンスなど横浜、東京、ソウルで作品発表を行なう。 2004年より文化庁在外派遣研修員としてパリで研修、2005年よりロンドンにてRussell Maliphant Companyのダンサーとして活動。 The Place Prize 2008のコミッションをうけて制作した作品”IchI”は好評をえた。2009年より神奈川と札幌を拠点に日本での活動をはじめる。川崎市アートセンタークリエイション•サポート事業対象アーティストとしてワークショップとダイアログから映像を制作するAMANOGAWAプロジェクトをたちあげ、現在も全国各地へ運ぶべく活動を続けている。
指導者として大学短大で身体表現教育に携わる他、子育て世代及びシニア向けワークショップ、中高生向けワークショップを展開、ダンスを一般へと広める活動を行っている。静岡舞台芸術センター(SPAC)のSPAC enfantプロジェクト“タカセの夢””Angels”に2010年よりカメルーン人振付家メルランニヤカムの振付アシスタントとして参加している。
2016年より鳥取大学芸術文化センター講師。