2015年9月17日木曜日

En attendant,,,,,テキスト

本当は当日終演後配ろうと思って用意していたテキスト。配りそびれてしまったので、ここにアップします。詳しい解説、写真は後日。

En Attendant,,,
フランス語で「待っている」。もともとはサミュエルベケットの戯曲「ゴドーを待ちながら」を想定してこの作品を作りはじめ、待ち続けること、そして永久に繰り返されるだろうことをテーマにとりあげようとした。
今回このエッセンスを借りつつ戯曲そのものからは離れることとした。これは著作権法上の理由もあるが、20分のダンスで物語るにはあまりにも複雑すぎる。
かわりにタゴールの「ギタンジャリ」102番の詩をテキストとしたい。
わたしはあなたを知っているといって、人びとの間で自慢した。わたしのすべての作品の中にあなたのすがたが見える。人びとがきて、私に訊ねる、「あれは誰?」わたしはどう答えてよいかわからない。わたしはいう、「じつはわからないんだ。」人びとはわたしを咎め、さげすんで立ち去る。そしてあなたはそこにすわって微笑んでいる。
わたしはあなたの物語を永遠に続くうたにする。わたしの胸から秘密がほとばしり出る。人びとがきて、わたしに頼む、「うたの意味をすっかり教えて。」わたしはどう答えてよいのかわからない。わたしはいう、「ああ意味なんてわからないんだ。」人びとは笑い、ひどくさげすんで立ち去る。そして、あなたはそこにすわって微笑んでいる。(川名澄訳)
この作品の土台となった「Mobius」の共同制作者であるHugues Vincentと作曲者である上地正彦(「Amanogawaプロジェクト」より)に感謝する。また、この作品を初演する機会をあたえてくれ、自身も舞台に上がってしまったHeide Moldenhauerさんにふたたびお礼をいいたい。


祈りをこめて。                                2015.09.12 木野彩子